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希望休の集め方と店内ルールの決め方:小規模店で今日から使える手順と例文
店舗運営の経験にもとづく記事ではなく、公開資料と一般的な考え方を整理したものです。末尾の「制作について」もご覧ください。
目次
集め方の手順(6ステップ)
スタッフが3〜10人ほどの店を想定しています。LINEで一人ずつ聞くと、返事がばらつき、誰が出したか分からなくなりがちです。次の形にそろえると、集める側の手間が減ります。
- 対象のシフト期間を伝える。「12月1日〜12月15日分」のように、日付で書きます。
- 出し方を1つに決める。共有のグループLINEに決まった書式で書く、共有のスプレッドシートに自分の行へ入れる、紙の用紙に書いて渡す、など。複数の方法を同時に認めると、集計が増えます。
- 書式をそろえる。「日付/休みたい/理由は任意」のように項目を決めます。理由の提出を必須にするかは、店の考え方で決めます。
- 締切の前に1回、未提出の人へ声をかける。全員の返事(「希望なし」も含む)を集めると、未提出か希望なしかの区別がつきます。
- 集計して、重なった日を見つける。日ごとに休み希望の人数を数え、出勤に必要な人数を割る日を探します。
- 仮のシフトを返して、確定の期限と変更の申し出方法を伝える。決まらなかった希望は、その理由と代わりの案を添えて個別に返します。
共有のスプレッドシートを使う場合、他の人の希望が見えてしまうことがあります。見せてよいかはスタッフ間で合意してから決めてください。
締切の決め方
締切に決まった正解はなく、店のシフトの作り方で変わります。逆算すると決めやすくなります。
- シフトを配る日から逆算し、「集計して調整する日数」を見込む。
- 「配る日」「希望の締切」「確定後の変更の申し出の締切」の3つを、毎回同じ曜日・日付の決め方にそろえる(例:配布は毎月25日、締切は毎月15日など)。
- 締切後に出た希望は、受け付けるか、「できる範囲で対応」とするかを先に決めておく。
架空の例(実在しない店です)
| 時期 | やること |
|---|---|
| 毎月10日 | 翌月分の希望の受付を開始する |
| 毎月15日 | 希望の締切。未提出者に前日に声をかける |
| 毎月20日 | 仮のシフトを返す |
| 毎月25日 | 確定して全員に渡す |
日付はすべて説明用の仮のものです。厚生労働省の留意事項は、確定したシフトを通知する期限や方法を、あらかじめ話し合って決めておくことを例として挙げています(下の「公的資料で確認したこと」参照)。
希望が重なったときの決め方
休み希望が重なり、必要人数を割る日が出たときに、揉めにくくする方法の例です。どれが良いかは店の事情によります。効果を数字で示せるものではありません。
| 方法 | やり方 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 先に出した人を優先 | 提出が早い順に認める | 提出時刻を記録に残す必要がある。早く出せない人に不利 |
| 譲り合いの相談 | 重なった人同士で話して、店長が調整する | 声の大きい人が通りやすい。店長が間に入る |
| 回数で公平にする | その月に認めた希望の回数を記録し、少ない人を優先 | 記録の手間がある。記録を全員に見せるかを決める |
| 特別な日の枠を決める | 繁忙日や連休は、1日あたりの休み人数の上限を先に決める | 上限は営業の事情で決め、事前に全員へ伝える |
| くじ | どうしても決まらないとき、くじで決める | 結果に納得してもらうため、方法を事前に伝えておく |
架空の例
架空の店で、土曜日に必要な出勤人数が3人、スタッフが5人とします。5人のうち3人が休みを希望すると、出られるのは2人で1人足りません。このとき、「1日あたりの休み希望の上限は2人」と事前に決めていれば、3人目の人に「この日は上限を超える」と理由を伝えやすくなります。人数はすべて仮のものです。
決められなかったときの扱い(代わりの休みの日を提案する、など)も合わせて決めておくと、断られた側の納得につながりやすくなります。
店内ルールの例文
下の文は、そのまま使うための完成品ではなく、店に合わせて直すためのたたき台です。数字(日付や人数)は仮のものです。実際に決めるときは、スタッフと話し合って合意し、できれば書面や共有の場所に残してください。就業規則や雇用契約に関わる内容は、専門家に確認することをおすすめします。
【シフト希望のルール(例)】
- 希望休は、対象期間の開始日の○日前(例:毎月15日)までに、決められた方法(例:共有のスプレッドシート)で提出する。希望がない場合も「希望なし」と返事をする。
- 1人が出せる希望休は、1か月に○日(例:3日)を目安とする。忙しい日は店長が調整することがある。
- 繁忙日(例:連休、年末)は、1日に休める人数に上限を設ける。上限は、期間の前にお知らせする。
- 希望が重なって全員を認められない場合は、店長が○○の順(例:その月に認めた回数が少ない人を優先)で調整する。調整できなかった場合は、理由を伝え、代わりの日を一緒に探す。
- 締切後の希望は、できる範囲で対応する。必ず通るものではない。
- 仮のシフトは毎月○日までに共有し、確定したシフトは毎月○日までに全員へ渡す。
- 確定後に変更したいときは、わかった時点で、決められた方法(例:店長への連絡)で早めに申し出る。変更は、本人と店が合意した上で行う。
- 年次有給休暇は、上の希望休とは別の制度。申請の方法は、店の定めに従う(定め方は専門家にも確認する)。
「目安」「上限」といった言葉は、店が決める運用上のものです。使い方によっては、働く人の権利に関わる場合があります。特に、年次有給休暇の申請に上の上限などをそのまま当てはめてよいかは、個別の判断が必要なため、この記事では判定しません(次の章参照)。
公的資料で確認したこと(シフトの決め方・有給休暇)
厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(令和4年1月7日、令和8年6月19日改正と本文に記載)の本文から、次を確認しました(確認日:2026年11月7日)。
シフトの決め方のルール
- 使用者が一方的にシフトを決めることは望ましくなく、使用者と労働者で話し合って、シフトの決定に関するルールを定めておくことが考えられる、とあります。
- シフトの作成に関するルールの例として、「シフト表などの作成に当たり、事前に労働者の意見を聴取すること」と、「確定したシフト表などを労働者に通知する期限や方法」が挙げられています。
- いったん確定したシフトの労働日・労働時間などの変更は、労働条件の変更にあたり、使用者と労働者の双方が合意した上で行うようにしてください、とあります。変更の期限や手続も、あらかじめ話し合って合意しておくことが考えられる、とされています。
- これらのルールは、就業規則に定めて一律に設けることも考えられる、とあります。
上の「集め方」「締切」「店内ルール」の考え方は、この資料の例に沿って整理したものです。資料は「望まれる」「考えられる」という書き方の部分が中心で、ここで挙げたルールの文言そのものを定めたものではありません。
年次有給休暇(希望休とは別の制度)
同じ留意事項の本文には、次の記述があります。
- シフト制の労働者でも、雇入れの日から6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤したときは、労働基準法に定める日数の年次有給休暇を付与しなければなりません。
- 年次有給休暇は、原則として労働者が請求する時季に与えなければなりません(労働基準法第39条第5項)。
- 所定労働日数を事前に定めていないことを理由に、年次有給休暇を付与しないことは認められません。所定労働日数を算出しがたい場合の算出方法(雇入れ6か月後は6か月間の労働日数の実績の2倍、1年6か月後以降は前年の労働日数の実績など)も、本文に示されています。
- 法定の付与日数が10日以上の場合、そのうち5日は、基準日から1年以内に時季を定めて取得させなければなりません(同法第39条第7項)。
厚生労働省のページ(いわゆる「シフト制」について)によると、令和8年6月の改正では、年次有給休暇について次の内容が追記されました。比例付与を含む付与日数、所定労働日数を算定しがたい場合の取扱い、取得時に支払われる賃金の計算方法です。賃金の計算方法の中身は、この記事では扱いません。
厚生労働省の事業者向けQ&A(スタートアップ労働条件)には、使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」に限って別の時季への変更を求められ(労働基準法第39条第5項)、その判断は個別・具体的・客観的に行う、とあります。単に「人手が足りない」「忙しい」だけで有給の申請を断れるかどうかは、個別に判断が必要です。この記事は判定しません。有給の申請を受けたときは、労働基準監督署や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
未確認:賃金の支払い方、年次有給休暇の計画的付与、時間単位の取得の取り扱いなど、上記以外の細かな決まり。この記事では扱いません。
無料ツールで人数不足を確かめる
この記事と同じサイトのかんたんシフト表は、ブラウザだけで使える無料のツールです。登録不要で、入力内容はお使いの端末内にだけ保存されます。
ツールには、希望休を集める機能や、希望を自動で割り振る機能はありません。ツールができるのは、入力したシフトの出勤人数と、曜日ごとの必要人数との過不足を表示することです。次のように使うと、集めた希望休で人数が足りるかを見られます。
- LINEやスプレッドシートなどで集めた希望休を手元にまとめる。
- ツールの「曜日ごとの必要人数」に、必要な人数を入れる。
- 集めた希望休の日を、「休み扱い」にしたシフト枠で入れる(枠の作り方はシフト表の作り方の記事にあります)。
- 残りの日に勤務枠を入れ、「過不足」の行で不足の日を探す。
- 不足の日が出たら、重なった希望の調整(前の章の方法)に進む。
スタッフごとの月間集計では、勤務日数と勤務時間が並びます。これを見ると、希望を通した結果、特定の人に出勤が偏っていないかを確かめる助けになります。ツールは法令の適否を判定しません。
人件費の見方は人件費の計算の記事、業種別の人数の考え方は業種別の違いにまとめています。
出典
以下は厚生労働省の公開資料です。リンク先の内容は更新されることがあります。確認日:2026年11月7日。
- いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項(厚生労働省、PDF):シフトの決め方、年次有給休暇の箇所は本文で確認
- いわゆる「シフト制」について(厚生労働省):令和8年6月の主な改正内容を確認
- 年次有給休暇はどのような場合に、何日与えなければならないのでしょうか(厚生労働省 スタートアップ労働条件):時季変更権の記述を確認
制作について
この記事は体験にもとづく助言ではありません。例の店・人数・日付はすべて架空で、説明用の仮のものです。ルールの例文は、法令や就業規則への適合を確認したものではありません。誤りがないことは保証できません。実際の運用の前に、ご自身で出典を確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。この記事に広告や紹介リンクはありません。